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「壊れたパソコン」は本当に壊れているのか?

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     お久しぶりです。PCオレンジの長尾です。

     仕事が忙しくても筆を止めないように気をつけていましたが、しばらく更新が滞ってしまいました。申し訳ありません。悲しい
     さて、今回は久しぶりのサポートコラムをお届けします。

    ※個人情報保護基本法に従い、お客様を特定できる情報は一切掲載いたしません。予めご了承下さい。


    ●システム管理者って必要?
     やけに物々しいタイトルがついていますが、実際のコラム内容はちょっと違います。最終的には壊れたパソコンを直すわけですが、その工程を追っていきつつ内在する問題を考えていきたいと思います。

     今回の舞台は、現在法人契約サポートをしているS社での出来事です。

     S社では10数台のパソコンを使用しており、ネットワークが組まれています。
     私が法人契約のサポートを開始する前には、しっかりとしたシステム管理をする人はいませんでした。社員総出で試行錯誤をしていたそうですが、その中で1人、少しパソコンに詳しい人がいたため、その人が大体のとりまとめをしていたそうです。

     こういった業務形態は、良く見かける光景かと思います。

     本来の仕事業務も他の社員と同様に進行しているにも関わらず、少しパソコンに詳しいというだけで、一人だけシステム管理も兼用する。もしくは、システム管理だけを行って、他の社員と同じかそれ以上の給料をもらって、のんびり過ごしている、などですね。

     前者の人はとっても気の毒です。
     通常の業務もあっての、兼業のシステム管理では、全てに目が行き届くのは難しいでしょう。
     後者は本人にとってはとっても楽ですが、経営者にとってよくないですね。悪く言えばいわゆる「穀(ごく)潰し」以外の何ものでもありません。
     特に、社員数が10人前後の場合は、あえてシステム管理者を1人雇うよりは、当社のようなシステム管理専用の人を契約で雇う方が金銭的にも効率的かと思います。

     今回は、前者の環境でした。
     そして、私が法人契約をスタートした頃には、システム管理を兼用していたその社員は既に退社していたのでした。

    ●放置されていたパソコン
     今回は新しいパソコンを買おうと思っているけれど、と相談されました。
     そこで、以前全機種のリストアップをした際に、1台放置されているパソコンがあったため、あれは使えないんですか?といった所から始まった出来事です。

     まず放置されているパソコンは、社員のみんなが口々に「前に辞めた人が壊れているといっていた」と言います。

     そして、そのパソコンはなぜか、CDドライブもハードディスクも付いていない状態で放置されていたのです。

     外見だけ(マザーボードのコンデンサなど)を見ても、特に壊れた様子もありません。元々付いていたはずのパーツがどこかにあるはずと探してもらったところ、ある机の引出しからコンボドライブ1台と2台の剥き出しのハードディスクが見つかりました。

     既に退社済みの兼業システム管理をしていた人(仮にAさん)が、このような状態にしたとの事です。そして、だれもはっきりと何があったのか覚えていません。

     こういった場合に一番困るのは、今いる人たちは何があったかを正確に説明できないということです。
    ・何故、CDドライブが外されているのか?
    ・何故、ハードディスクが2台もあるのか?
    ・一体全体、何が起こっていたのか?


     Aさん以外は良く分からないし、他の社員の人たちはAさんから聞いた故障に関する情報の断片しか確認できないため、みんなの話が正しいのか正しくないのかがまったく判断できません。

     どうしてこうなったのか、といった経緯を紙などに書いて残してくれていれば助かるのですが、そういったものは一切ないのでした。

     もう、こうなったら、自分で調べるしかありません。

     いろいろ外されたパソコンと、剥き出しのコンボドライブと2台のハードディスクを持ち帰り、検証する事にしました。

    ●壊れているドライブと壊れていないハードディスク
     早速組み立ててみたところ、どうやらドライブが異常なようです。
     動作音が非常に大きく、システムのインストールに失敗します。
    ※実際はリカバリCDの盤面にセロハンテープの痕のような汚れがあったため、インストールに失敗したのはそれが原因かもしれませんが、動作音は異常に大きいことには変わりありません。

     手持ちのCD-Rドライブと交換して、リカバリCDの汚れを取ってから再セットアップを行っていきます。無事再セットアップも終了し「再起動してください」と表示されました。

     ところが起動直後にSTOPエラー0x0000007Bが出ます。
     2度ほど、再セットアップを行いましたが同じ現象が出ます。

    ●詳しい人ほど罠に嵌る?
     さて、こうなると大変です。
     なまじ知識と問題解決の経験があるだけに嵌っていきます。

     「STOPエラー:0x0000007B」を調べると、大抵の検索結果では「ハードディスクの故障の可能性が大きい」と書いてあります。
     しかし、私のこれまでの経験を総合して考えても、今回の場合はハードディスクがおかしいといった感触はありません。これは勘としかいいようが無いんですが、ハードディスクがおかしいとは思えないのです。

     しかし念のためハードディスクのメーカーのSeagateホームページから、SeaToolsをダウンロードしてきます。

    SeaTools Desktop Edition

     これは、フロッピーから起動するハードディスク診断ツールです。ハードディスクが故障しているかどうかを診断してくれます(英語版のみ)。

     そして結果「ハードディスクに障害は無い」と判断されました。
    ※もちろんこれをもって100%ハードディスクは故障していないと断言できるわけではありませんが、とりあえず故障しているパーツ候補からは外せます。

    ●そしてどんどん嵌る
     ハードディスクはおかしくない、とすると、次に疑うのはハードディスクを繋いでいるケーブルです。ケーブルというのは意外と盲点で、ケーブル交換で症状が改善するというケースがまれにあります。
     しかし、ケーブルを交換してみても変化無しでした。

     次にメモリーを疑います。
     2つあるスロットに、別のメモリを差してみる、使用メモリソケットを変更してみる、等を行っても変化がありません。

     そうすると、マザーボードが故障しているのではないだろうか?という疑問が頭に浮かびます。
     一旦、マザーボードの故障の可能性を検討し始めると、なかなか頭から離れません。「結局故障していたのか?」と考え始めます。

     ふと思いついて、PCIのIDEボードにHDDを繋いでみましたが、メーカー製のパソコンのためBIOSにPCIボードからのブートメニューがなく、IDEボードからのブートができません。

     これは、やはり、故障していたのかな・・・と思いはじめました。
     そして、何気なくBIOSメニューをもう一度見ていてビックリしました!

    ●想像だにしない結末
     灰色の脳細胞を駆使していた私ですら、この結末には驚きました。

     一言でうまく説明できないんですが、簡単に言いますと、ガワが違っていたのです。
     つまり、全く別の機種のフェイスが付いていたのでした。

     そう、私がビックリしたのは、BIOS画面を見ながら、ふとCPUの識別画面が目に飛び込んできた時でした。
     そこには、煌々と白い文字で「Pentium4」と書いてあったのです。

     「Pentium4 ???

     そして、持ち帰ってきたパソコン本体の正面のフェイスには「AthronXP」のシールが貼ってあり、型番で調べると仕様は当然AthronXPが搭載されたパソコンであり、リカバリも当然、その機種用のCD-ROMを使用したのでした。

    SotecAthronXP 燦然と輝くAthronXPエンブレム

     このパソコンはSOTEC製なんですが、AthronXP搭載の機種とPentium4搭載の機種があり、それぞれが全く同じケースを使った別の機種が出ているのでした。

    ●つまり結論はこうだ
     ヘイスティングスもビックリのこの結末に、しばらくは唖然としてしまいました。
     なぜフェイスが別の機種と入れ替わってしまったのか。
     一体誰が、何の目的で?

     もちろん、S社に置いてある別のパソコンと入れ替わっている事は間違いありませんが、一体全体なぜ差し替える必要があるのか、まるで想像が出来ません。
     きっと誰もそれに答える事は出来ないのでしょう。
     そのAさんをもってしても・・・。

     そしてもうひとつの問題は、この機種のリカバリ媒体はPCのHDDに内蔵タイプで、リカバリCDが付いていない機種なのでした。
     もしCDで欲しい場合は自分で作成する必要がある機種なのでした。
    SotecRecover

     つまり、全く別の機種のリカバリCD-ROMを使って、再セットアップを行っていたので、正常にセットアップが完了したように見えても、正常に動くはずもないのでした。
     しかもPentium4とAthronXPでは、CPUが違うばかりかマザーボード搭載のチップセットも違います。
     ある意味同じWindowsXPでも別物です。
    ※市販のWindowsXPをインストールする場合は、CPUやチップセットを判断して適切なドライバがインストールされますが、製品添付のリカバリCDはその機種用のドライバしか入っていない場合が多いのです。

     これでは、STOPエラーが出ても不思議ではないですね。

    ●決して結論の出ない推理(想像)
     推理(想像)してみます。

     最初にドライブがおかしくなった。
     パソコンが正常起動できない。
     再セットアップを行おうとしたが、マニュアルを読まない。
     手持ちのリカバリCDで再セットアップを試す。
     起動時にSTOPエラーが出る。
     このパソコンは壊れてる、と判断する。

     といったストーリーなんでしょうか。

     今回再セットアップ領域はすでに消えてしまっていましたから、どうやって復旧するかは要検討になります。
     ただし、検証用に別のOSをインストールしたら、問題なく起動した事は付け加えて起きます。初回セットアップのプロダクトキー入力画面まで問題なく動作しました。

     どうやら、CDドライブ以外のハードは壊れていないようです。

    ●パソコンの管理運営の必要性
     私の仕事柄言う訳ではありませんが、パソコンを総括的に管理する人は必ず必要です。
     とりわけパソコンが複数台ある場合は、トラブルの判断、そして故障の判断ができる人が必要です。
     全く故障していなくても、それが故障しているかどうかを判断できなければ、常に修理修理を繰り返し、時間だけが無駄に過ぎていきます。
     また、そういった管理を行う場合でも、しっかりと紙などにメモを残していく事をお勧めします。

     当社では、法人契約したその月から、会社のパソコンの資産管理、機種の更新情報の確認、パソコン及び周辺機器のリストアップ、配線確認など、パソコンに関する全ての管理業務を行います。

     もし東京近郊でしたら、PCオレンジの法人サポートをご検討いただければと思います。

     よろしくお願いいたします。楽しい

    パソコン

    コメント
    不思議ですね〜というより変な話ですね。

    ただPC管理に関しては専門者がきちんと管理を行わないと、このような世の中では情報漏えい等の危険もあり危険だという事は間違いないですね。ただ、その専門者しかPCに詳しい人がいないという環境も危険ではありますね。結局、その人の事だけを鵜呑みに信じるしかないわけですから。

    信用ある専属契約をもって、重要な財産であるPC/データを管理するという事の重要性を中小企業も検討する時代になっているのかもしれません。
    • ウルフィー
    • 2006/07/21 11:55 PM
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    ハードディスクが調子悪くなって、入れ替え、データの読み出しに苦労してしまいました。同じような境遇の方にご参考になれば。
    • ハードディスククラッシュ復旧顛末記
    • 2007/06/26 10:39 PM